記事作成日:2024年12月20日
離島医療と介護の課題と展望 ─ 小豆島のケース
小豆島は香川県に位置する離島で、豊かな自然や観光資源が特徴ですが、医療・介護の分野では特有の課題を抱えています。
今回は、小豆島の医療と介護の現状を詳しく掘り下げ、その課題と解決策について考えます。
小豆島の医療体制ー現状と課題
引用:小豆島中央病院公式サイト
小豆島には、「小豆島中央病院」という入院施設を持つ唯一の医療機関があります。
外来診療、救急医療、入院治療など多岐にわたる役割を担っており、島民の生命線となっています。
しかし、小豆島中央病院では診療時間外に多くの患者が訪れるものの、緊急性の低いケースが多いのが現状。
このため、緊急医療に対応する負担が増え、限られた人員にとって大きな負担となっているのです。
【現状】小豆島の介護体制
小豆島の高齢化率は全国平均を上回っており、医療と介護の連携が特に重要視されています。
特に、地域包括支援センターを拠点として、在宅介護や福祉相談、介護予防事業が進められています。
しかし、介護の需要が高まる一方で、人材不足が深刻化しています。
地理的制約の影響で、訪問介護やデイサービスの利用が難しいケースも少なくありません。
この課題に対応するため、地域特性を考慮した柔軟なサービス提供が求めらているのです。
医療と介護の連携強化ー住民啓発活動の取り組み
引用:KSBニュース
医療と介護が連携することで、患者の退院後も一貫したケアを提供できるようになります。
小豆島では、医療機関と介護施設が連携し、患者や家族の負担軽減を図る取り組みが進められています。
また、適切な受診行動を促すため、病院や行政は啓発活動に注力しているようです。
診療時間内に受診する重要性を伝えるため、チラシ配布や住民説明会を実施し、医療資源の効率的な活用を目指しています。
香川県における離島医療
香川県の離島医療は、地理的制約や医師不足などの課題に直面しています。
また常勤医師が不在の粟島では、住民の高齢化が進行し、医療アクセスの確保が急務です。
香川県内には24の有人離島がありますが、そのうち診療所があるのは10島に過ぎません。
このような医療格差を是正するため、香川大学瀬戸内圏研究センターは、遠隔医療やドローン物流の導入を進めています。
2020年7月、香川大学瀬戸内圏研究センターは、香川県高松市のドローン運航会社「かもめや」と、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社と協力し、粟島でオンライン診療とドローンによる医薬品輸送の実証実験を実施しました。
この実験では、ドローンを用いてモバイル心電計や処方薬を配送し、遠隔地からの診療と治療を可能にする取り組みが行われています。
2021年8月には、粟島と三豊市須田港を結ぶドローン定期便を世界で初めて就航させました。
定期便は、生活物資や医薬品の輸送を目的としています。
これらの取り組みは、離島住民が安心して生活を続けられる環境づくりに寄与すると期待されています。
参考:「離島における遠隔医療の現状と将来について」 |香川大学
医療格差を超えて:香川が進める離島医療モデル
香川県の離島医療は、地元住民の健康を守るだけでなく、地理的制約を乗り越える新しい医療モデルの実現に向けた先駆的な挑戦です。
今後のさらなる発展が期待されています。
監修
あなぶきヘルスケア
事業部長 喜田 康生
平成17年にプランドゥ穴吹に入社。その後、地域の医療介護検索サイト「病院・介護ナビmilmil」を立ち上げ、サイト営業で多数の病院、クリニック、介護施設などを訪問。
現在はあなぶきヘルスケアにて、広告コンサルティングを通じ、ブランディングなど幅広い視点から医療介護業界をサポート。