記事作成日:2024年11月26日

冬に増える感染症とその対策:園や学校、香川県の取り組み

冬季は空気の乾燥や寒さにより、インフルエンザ、ノロウイルス感染症、RSウイルス感染症などが流行しやすい時期になりました。
特に園や学校のような集団生活の場では、感染が広がりやすいため、適切な対策が必要です。
今回は、冬に増える感染症を紹介し、香川県の取り組みを含む具体的な予防策を紹介します。
 

冬に流行する感染症とそれぞれの特徴



冬季は特にインフルエンザ、ノロウイルス感染症、RSウイルス感染症が多くの地域で流行します。
それぞれの感染症について、特徴や対策を解説しましょう。
 

インフルエンザ

インフルエンザは高熱や頭痛、筋肉痛などを伴う急性のウイルス感染症です。主に飛沫感染や接触感染を通じて広がり、毎年多くの人が罹患します。
特に免疫力が低下しがちな子どもや高齢者は重症化しやすく、合併症として肺炎を引き起こすケースも少なくありません。
予防にはワクチン接種が有効で、流行期前に接種を済ませておくことで感染リスクを大幅に減らせます。
また、感染を防ぐためには、咳エチケットや頻繁な手洗いの習慣化も重要です。
 

ノロウイルス感染症

ノロウイルスは、嘔吐や下痢、腹痛を引き起こす急性胃腸炎をもたらします。
感染力が強く、少量のウイルスでも感染が成立するため、園や学校で集団感染が発生しやすいという特徴があります。
感染経路としては、ウイルスを含む食べ物や飲み物の摂取、感染者との接触が挙げられます。
また、調理器具やトイレの衛生管理が不十分だと、感染が広がりやすくなります。
 

RSウイルス感染症

RSウイルス感染症は特に乳幼児や小児で重症化しやすい感染症で、一般的には咳や鼻水、発熱といった風邪に似た症状が現れます。
ただし、重症化すると気管支炎や肺炎を引き起こすこともあります。
主に飛沫感染や接触感染で広がり、園や学校では近距離での接触が頻繁にあるため、特に注意が必要です。
 

園や学校で行われている感染症対策



園や学校では、感染症の流行を防ぐためにさまざまな取り組みが行われています。
以下では、日常的に行われている対策を具体的に紹介します。
 

手洗いの徹底と指導

園や学校では、子どもたちに感染予防の基本である「手洗い」を正しく身につけてもらうため、香川県坂出市では、「キレイキレイのまち 坂出」プロジェクトとして、市内すべての小学校で手洗い教育を実施しています。
この取り組みはライオン株式会社との協力によって行われ、泡ハンドソープを提供しながら、子どもたちに手洗いの重要性を体験的に学ばせるものです。
 
授業では、専用の「手洗いチェッカー」を使用して、洗い残しがどこにあるかを可視化する活動が行われます。
ブラックライトを当てることで、手洗いが不十分な部分が光る仕組みになっており、子どもたちが自分の手洗いの癖を具体的に把握できます。
 
また、授業では手洗いのタイミングについても指導が徹底されており、「帰宅後」「食事の前」「トイレの後」など、感染リスクが高い状況での手洗いの必要性を伝えているようです。
この活動により、坂出市では、地域全体で衛生意識が向上し、子どもたちだけでなく家庭や地域社会全体への感染予防意識が広がっています。
 
▼詳しくはこちら
キレイキレイのまち 坂出プロジェクト
 

環境衛生の強化

教室や共用スペースの衛生管理は、感染症予防の要ともいえる重要項目です。
多くの園や学校では、教室の机やドアノブ、トイレの手すりなど、頻繁に触れる部分は消毒液を使用して定期的に清掃されています。
 
また、使用した後のマットやおもちゃは、週単位で消毒・洗浄が行われています。
ノロウイルスやRSウイルスが流行する時期には、次亜塩素酸ナトリウムを用いた消毒が推奨されており、香川県の多くの幼稚園や保育園でも実施されています。
 

換気の徹底

感染症対策としての換気は、学校で最も重視されているポイントの一つです。
香川県内の学校では、窓を定期的に開けることで新鮮な空気を取り入れ、室内のウイルス濃度を低下させる努力がされています。
冬場の寒さが厳しい時期でも短時間の一斉換気を頻繁に行うことで、快適さと感染予防の両立を図るように工夫されています。
 

健康観察と体調管理

園や学校では、毎朝の健康観察を通じて子どもたちの体調を確認しています。
登校時には検温や咳の有無のチェックを行い、発熱や明らかな症状が見られる場合には、速やかに保護者へ連絡がいく体制が整っています。
さらに、感染症が疑われる症状が出た場合には、学校医や保健所と連携し、適切な措置を取るための指針が設けられています。
 
こうして、感染拡大を防ぐために、園や学校ではさまざまな取り組みを行っているのです。
 

香川県における感染拡大予防の取り組み



香川県では、感染症の拡大を防ぐため、地域や学校での予防策を積極的に進めています。
その中心となるのが「香川県感染症予防計画」です。
この計画では、流行時期に合わせて重点的な対策を行うことが明記されており、学校や保育園と連携して感染症対策を講じています。
また、啓発活動にも力を入れており、たとえば各学校においては保健だよりや講習会を通じて、子どもたちや保護者に感染症への理解を促す取り組みが行われています。
これにより、家庭や地域全体での予防意識を高めることを目指しています。
 
▼詳しくはこちら
香川県感染症予防計画
 

感染症対策には保護者や地域社会の協力も重要

冬の感染症対策は、個人、家庭、学校、地域が一体となった取り組みが必要です。
香川県では、この冬も地域特有の取り組みを活用し、予防策を徹底しています。
学校だけでなくご家庭でも感染症に負けない環境づくりを心がけ、健康的な冬を過ごしましょう。
 

監修

あなぶきヘルスケア
事業部長  喜田 康生

 

平成17年にプランドゥ穴吹に入社。その後、地域の医療介護検索サイト「病院・介護ナビmilmil」を立ち上げ、サイト営業で多数の病院、クリニック、介護施設などを訪問。

現在はあなぶきヘルスケアにて、広告コンサルティングを通じ、ブランディングなど幅広い視点から医療介護業界をサポート。

 

 


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