記事作成日:2024年10月28日

今季大流行中のマイコプラズマ肺炎とは?症状や感染対策

マイコプラズマ肺炎は、風邪やインフルエンザといった一般的な呼吸器感染症と似た症状を持ちながらも、異なる原因菌によって引き起こされる感染症です。
特に秋から冬にかけて流行しやすく、主に飛沫感染によって広がるため、学校や職場といった集団生活の場での感染リスクが高まります。
初期症状は軽度なことが多いものの、放置すると悪化する可能性があり、早期の予防と治療が欠かせません。
今回は、マイコプラズマ肺炎の感染原因や具体的な症状、治療法、さらには効果的な予防策について解説します。
 

マイコプラズマ肺炎とは?近年の流行状況



マイコプラズマ肺炎は、Mycoplasma pneumoniae という細菌によって引き起こされる呼吸器感染症で、風邪に似た軽度の咳や発熱などから始まり、進行すると気管支炎や肺炎に至るケースが多いです。
特に子供や若年層に多く見られる傾向がありますが、重症化すると高齢者や免疫力の低下した人にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
 
近年、日本を含む各国でマイコプラズマ肺炎の周期的な流行が観察されており、小中学校でも頻繁に学級閉鎖が余儀なくされているようです。
マイコプラズマ肺炎は、特に大規模な感染が約3〜5年ごとに発生しています。
2020年以降、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、マスクの着用や手指消毒などの感染対策が徹底されたため、一時的にマイコプラズマ肺炎の流行が抑えられていました。
しかし、コロナ対策が緩和された最近では、再び感染者が増加している傾向が見られ、特に秋から冬にかけて注意が必要です。
また、抗菌薬への耐性を持つ菌が増えており、治療が難しくなるケースも増加しているため、早期診断と適切な対策がますます重要になっています。 
 

マイコプラズマ肺炎の感染原因



マイコプラズマ肺炎は、飛沫感染が主な感染経路です。
感染者が咳やくしゃみをすると、微細な飛沫が空気中に飛び散り、それを吸い込んだ他者に感染が広がります。
また、感染者が触れた物に触れ、その手で口や鼻に触れることでも感染することがあります。
飛沫が原因となるため、密閉空間や人が多く集まる場所で感染リスクが高まります。
 
特に秋から冬にかけて流行しやすいとされており、学校や職場などの集団生活の場で一度感染者が出ると、他の人にも感染が広がりやすくなり、集団感染が発生することもあります。
免疫力が低下している子供や高齢者がいる場合は、集団感染により重症化するリスクも高まります。
 

マイコプラズマ肺炎の潜伏期間と発症のメカニズム

マイコプラズマ肺炎の潜伏期間は約1〜3週間と比較的長めです。
この期間に感染していることに気づかず、他者に感染を広げてしまうことも多く、知らない間に感染拡大の原因となることが少なくありません。
また、細菌が肺組織に侵入することで、炎症反応が引き起こされ、咳や発熱といった症状が現れます。
 

マイコプラズマ肺炎の症状



◆初期症状

マイコプラズマ肺炎の初期症状には、咳やのどの痛み、倦怠感などがあり、風邪と類似しています。
これにより、最初は風邪と間違えやすく、適切な治療が遅れることもあります。
症状が軽い場合、特に医療機関を受診せずに自然治癒を待つ人もいますが、これが感染拡大の一因となることがあります。

 

◆発熱と呼吸器症状の悪化

初期症状が進むと、発熱や強い咳が現れ、呼吸困難や胸の痛みを伴うこともあります。
この段階でようやく肺炎の可能性が疑われ、医療機関を受診するケースが増えます。
子供や高齢者の場合、免疫力が低いために症状が急速に悪化することがあるため、早めの治療が求められます。

 

◆重症化のリスクについて

マイコプラズマ肺炎は一般的には軽症で済むことが多いものの、免疫力が低下している人や基礎疾患を持つ人は重症化しやすいです。
重症化すると、肺が広範囲にわたって炎症を起こし、呼吸不全に至ることもあります。
また、脳や心臓など他の臓器にも炎症が広がる可能性があり、重篤な合併症が発生することもあります。 

 

マイコプラズマ肺炎の診断と治療法



マイコプラズマ肺炎は、血液検査や胸部X線検査などにより診断が行われます。
また、確定診断には、咽頭や鼻腔からの分泌物を採取し、PCR法などで細菌の存在を確認します。
診断に時間がかかる場合もありますが、早期診断が治療効果を高め、感染拡大を防ぐためにも重要です。
 
治療には、マクロライド系抗菌薬(エリスロマイシンやクラリスロマイシンなど)が一般的に使用されます。
抗菌薬を適切に服用すると、感染源を速やかに抑え、症状の進行を防ぐことができます。
ただし、近年では一部のマイコプラズマが薬剤耐性を持つようになり、効果が低下しているケースも報告されています。
 
マイコプラズマ肺炎は、抗菌薬の服用によって症状が改善しても、自己判断で服薬を中止せず、医師の指示に従いきちんと完治させることが大切です。
服薬を途中でやめてしまうと、耐性菌が生まれ、再発や他者への感染リスクが高まる可能性があるため、注意が必要です。
 

マイコプラズマ肺炎を予防するには?



マイコプラズマ肺炎は飛沫感染によって広がり、特に集団生活の場で感染リスクが高まります。
そのため、日常的な予防策を徹底することが大切です。手洗いやマスクの着用といった基本的な対策に加え、免疫力を高める生活習慣の改善も感染予防に有効です。
以下では、具体的な予防方法をいくつかご紹介しますので、日常生活で取り入れて、感染リスクの低減に役立ててください。
 

手洗い・うがいの徹底

マイコプラズマ肺炎の感染を予防するためには、手洗いやうがいを習慣にすることが重要です。
飛沫感染のリスクを下げるためには、外出後や公共の場で触れた後にしっかり手を洗い、口や鼻に触れることを避けることが効果的です。
また、うがいも同様に、喉に付着した細菌を洗い流す効果があります。
 

マスクの着用

感染リスクが高い時期や人混みの多い場所に行く際には、マスクの着用が推奨されます。
マスクをすることで、飛沫の吸い込みや他人に飛沫を広げるリスクが軽減されます。
特に、インフルエンザや風邪の流行期には、マイコプラズマ肺炎を含む感染症の予防効果が高まります。
 

免疫力の向上

日頃からバランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動を心掛け、免疫力を高めることも、マイコプラズマ肺炎の予防につながります。
特に、ストレスの多い生活や不規則な生活習慣は免疫力の低下を招きやすく、感染リスクが高まる要因となるため、規則正しい生活を心掛けましょう。
 

マイコプラズマ肺炎に予防接種はある?



現在のところ、マイコプラズマ肺炎に対する特定のワクチンは存在しません。
したがって、予防接種による予防は難しいですが、他の呼吸器感染症(インフルエンザや肺炎球菌など)への予防接種を行うことで、総合的な感染リスクを低減する効果が期待できます。
特に高齢者や基礎疾患を持つ人は予防接種を検討することが重要です。
 

マイコプラズマ肺炎は生活習慣を見直して予防する

マイコプラズマ肺炎は、飛沫感染によって広がり、特に集団生活を送る場で感染リスクが高まります。
そのため、手洗いやマスクの着用、免疫力を高める生活習慣の見直しが基本的な予防策として重要です。
また、感染した場合には、早期診断と適切な抗菌薬治療が重症化を防ぎ、他者への感染を防ぐためにも効果的です。
医師の指示に従って治療を完了し、再発や耐性菌の発生を防ぐよう注意しましょう。
 

監修

あなぶきヘルスケア
事業部長  喜田 康生

 

平成17年にプランドゥ穴吹に入社。その後、地域の医療介護検索サイト「病院・介護ナビmilmil」を立ち上げ、サイト営業で多数の病院、クリニック、介護施設などを訪問。

現在はあなぶきヘルスケアにて、広告コンサルティングを通じ、ブランディングなど幅広い視点から医療介護業界をサポート。

 

 


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