記事作成日:2023年10月23日
障害児とは少し違う「医療的ケア児」とは?現状の受け入れ要件について
医療的ケア児、こども未来戦略方針の内容を見て、初めて聞いたという人もいるのではないでしょうか?
なんとなく、なんらかの障害児のことであろうと思っている人もいると思います。
医療的ケア児とは、NICU(新生児特定集中治療室)から退院後も、人工呼吸器や胃ろうなどを使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要な児童のことを言います。
医療の発達によって新しく生まれた言葉であり、一般的な身体障害や知的障害とは少し異なります。
そこで今回は、医療的ケア児について、現状の受け入れ要件や未来に期待されていることについて紹介していきましょう。
医療的ケア児の基本的な受け入れ先
医療的ケア児は、上記で説明した通り、医療的ケアが必要とされる児童です。
働かなければならないなどの理由で預ける必要がある場合に、受け入れ可能な施設を探さなければなりません。
基本的には、医療的ケア児は「訪問看護事業所」と「保育所」の2通りの受け入れがあります。
それぞれの受け入れ先について紹介しましょう。
1.訪問看護事業所による医療的ケア
専門的な研修を受けた保育スタッフが自宅を訪問し、子どもの経管栄養やたんの吸引、呼吸器管理などといった医療的ケアと体調管理を受け持ちながら保育を提供します。
看護師は週3回ほど訪問し、 保育園看護師のような立ち位置で看護師が対応しています。
2.保育所による医療的ケア
保育所は、医療的ケア児であっても、他の子どもたちと同じように、一人ひとりの健やかな発達・発育状況に応じた保育を提供します。
保育士等の職員が、特定の医療的ケアについては法律に基づいて実施します。
認定特定行為業務従事者となる保育者が実施できるのは以下の通りです。
①口腔内の喀痰吸引
②鼻腔内の喀痰吸引
③気管カニューレ内の喀痰吸引
④胃ろうまたは腸ろうによる経管栄養
⑤経鼻経管栄養
医療的ケア児の保育利用までの流れ
4月入所の場合、以下のような流れから保育を開始するようになります。
なお、受け入れ可能性の検討と利用調整は前後または並行することがあります。
一般的な「保活」と同じように、保育開始年の前年から行動する必要があることを知っておきましょう。
香川県高松市が行っている受け入れのための取り組み
香川県高松市では、「訪問看護師の巡回によるケア実施体制の確保」と「医療的ケア児等コーディネーターの活用」といった取り組みがされています。
<訪問看護師の巡回によるケア実施体制> ・訪問看護師と保護者が直接会うことはないため、訪問看護師、保育所、保護者の間では、連携ノートを用いて日々の情報を共有する。
<医療的ケア児等コーディネーターの活用> 【保育所・保護者との連携】 ・訪問看護事業所では、7名の職員が医療的ケア児への対応に関わっている。常に同じ看護師が担当することは難しいため、医療的ケア児等コーディネーターが看護師間での情報共有や連携、複数で担当することについての保護者への説明を行っている。 【医療との連携】 ・経管栄養がなくなったり、事故抜去時の対応の見直しなど、状態の変化に応じて主治医からの指示が変更されることもある。 |
香川県高松市は、平成30年度に市内の医療的ケア児・家族から地域の保健師を通じて保育所利用の相談を受けたことをきっかけに、市として、どんな形で医療的ケア児の受入れ体制を整えるかについて検討を始めました。
そして、訪問看護事業所を活用しながら、当該事業所の看護師が受入れ園を巡回(巡回型)をすることを決め、市内で協力を得ることができる保育施設を開拓したのです。
しかし、巡回をするためには、受入れ可能な園と保護者、関係機関との調整などを細かく実施する医療的ケア児等コーディネーターの配置が必須と考え、自治体の情報収集をはじめます。
のちに、看護師資格をもつ医療的ケア児等コーディネーター1名の配置を要件として、協力先の訪問看護事業所を決めました。
こうした巡回型の医療的ケア実施体制の構築により、保育利用相談を受けた医療的ケア児の受入れが実現したのです。
香川県医療的ケア児等支援センター「ソダテル」
香川県では、医療的ケア児等支援センター「ソダテル」が2021年4月1日に開設されました。
医療的ケアを必要とする方とその家族や支援者の総合的な相談窓口となり、情報提供や助言など、成長段階に応じて、きめ細やかに支援を続ける施設として、地域や保護者を支えています。
▼詳しくはこちら
香川県医療的ケア児等支援センター「ソダテル」
医療的ケア児の親が思っていること
6ヶ月〜2歳を対象に就労・障害関係なく誰でも保育園や幼稚園に通えるよ!←ありがたい。(医療的ケア児は?看護師配置は?加算は?という不安あり)
— mi
発達に不安があり医師の診察のもと必要な6ヶ月〜2歳を児発へ!←ありがたい、早期に療育期間へ繋がれるのは良い事
健常児も児発へ!←意味不明
年寄りの介護保険くらい手厚いものが、医療的ケア児にもあればいいのにな。
— るうう (@kabukagome) October 22, 2023
「医療的ケア児」の一時預りに対する補助事業が始まるとのこと。
— 和久津亮@福祉経営eラーニング (@wakutsu_ryo) October 19, 2023
これですぐに受け入れできる事業者が増えるわけではないと思うが、そもそも現状、重心児発は構造的に黒字化が難しいので、この制度を活用する事で、事業単体でも継続が出来る様になれば、と期待。
医療的ケア児の受け入れがある市の保育園、医ケア児預かりはフルタイムではないと知った今。オワタ感ある。何時から何時なの……2歳になったらそこに入れて仕事復帰だ!!って漠然と考えてただけだけど勤務先の時短の時間と合わないと結局無理じゃん
— もる
通りすがりの医療的ケアをしている看護師です。
— フェアリー(魔)潜水済 (@FairyManierista) October 20, 2023
私がいるのは、支援学校を卒業後に通う福祉施設です。(放デイもあり、医療的ケア児の方々も通っています。)
やはり看護師不足が大きな課題ですよ…
医療的ケア児の就園に、保育所等訪問はとても有用であると実際STやPT介入の事例を見て感じます。
— 医療的ケア児者対応
看護師の配置だけでなく、専門家であるセラピストのサポートに報酬が付くのはありがたいです。
しかし医療的ケア児に対応した保育所等訪問支援事業所は実に少ない…https://t.co/Mk7hOyjbQq
保育園や幼稚園で考える。一日数時間預かってくれるってのは確かに助かるね!障害あるなし関係なく?本当に?次男くんみたいな医療的ケア児でも?そりゃすごい!でも加算なしで?保育士さんが?看護師いなくて?医療的ケア児は別なんかな。障害の線引きはどこから?断られそう
こども未来戦略方針が公表され、その中には医療的ケア等の支援の拡大などがありました。
これに期待する声がある一方、不安な人も多くいる印象です。
また、筆者の周りにも医療的ケアが必要とする子どもを持つ親がいるのですが、同じような意見でした。
現状では、まだまだ支援が足りていない様子。
そして、懸念されているのは看護師の不足です。
医療的ケアができる看護師や保育士がいなければ、どんなにいい政策であっても成り立ちません。
全ての人が幸せになれる政策を進めてほしいと心から願っています。
関連施設
ぬまた歯科・小児歯科(香川県高松市)
インプラントなどの特別なことより、頻度の高い普通の歯科治療を、より高いレベルで提供することをめざしている歯科医院です。
医療法人社団 杢保小児科医院 (香川県丸亀市)
かわいいピンクの象の看板が目印。アレルギーと予防接種に力を入れている小児科医院です。
ながいこどもクリニック(丸亀市)
ゆめタウン丸亀より西(多度津方面)へ約200mの場所に位置するクリニックです。
なないろ歯科・こども矯正歯科クリニック(香川県仲多度郡多度津町)
セサミストリートクリニックメンバープログラム”を通して、新しい形の医療を提供するクリニックです。
監修
あなぶきヘルスケア
事業部長 喜田 康生
平成17年にプランドゥ穴吹に入社。その後、地域の医療介護検索サイト「病院・介護ナビmilmil」を立ち上げ、サイト営業で多数の病院、クリニック、介護施設などを訪問。
現在はあなぶきヘルスケアにて、広告コンサルティングを通じ、ブランディングなど幅広い視点から医療介護業界をサポート。