記事作成日:2023年6月9日

全国で急増する「梅毒感染者」岡山がワースト8位に

梅毒という性感染症をご存じでしょうか。湿疹が小さなバラの花に似ていることから別名でバラ疹とも呼ばれるこの感染症。

今、実はこの梅毒が全国で急増しています。岡山県においてはなんとワースト8位を取ってしまうという事態に。

今回は、梅毒の症状や具体的な予防策、もしも感染してしまった場合にはどうすれば良いのかについて解説します。
 

梅毒とは



梅毒とは、細菌「梅毒トレポネーマ」が体内に入ることで引き起こされる性感染症です。「梅毒トレポネーマ」は1913年、世界的英雄としても知られる野口英世氏によって発見されました。性器や口内に小さなしこりができたり発疹が出るのが特徴であり、症状が消えても自然治癒はしません。
 
梅毒は治療をしないまま放置しておくと、数年から数十年かけて身体を蝕んでいきます。心臓、血管、脳などの様々な部位に病変が生じさせる重い感染症です。梅毒は一度治っても免疫が得られず再感染する感染症なので、過去に一度かかって治療が済んでても注意が必要です。
 

梅毒の原因・感染経路

梅毒は、主に他者との性行為によって感染しますが、口や性器などの粘膜や皮膚から感染するのが特徴です。また、梅毒に感染している母親から妊娠・出産の流れで子どもが生まれながらに先天梅毒にかかってしまうこともあります。
 

梅毒の症状経過

■Ⅰ期:感染後約3週間
感染が生じた部位にしこりや潰瘍(かいよう)ができたり、股の付け根の部分のリンパ節が腫れることがあります。この時期は他人に梅毒を感染させるリスクが高いです。痛みが無いことも多く、特別何かしらの治療をしなくても自然に痛みは和らぎます。しかしながら、体内に病原体が残るので、感染リスクは残ります。
 
■Ⅱ期:感染後数か月
3か月治療をせずに過ごすと、病原体が血液により全身に運ばれます。手のひらや足の裏、身体全体にうっすらと赤い発疹が出るなどの皮膚に以上が見られることがあります。この時期に抗菌薬で治療をしないと、病原体である梅毒トレポネーマは消えないので引き続きリスクを背負った状態が続きます。
 
■晩期顕性梅毒(感染後数年から数十年)
感染後、数年が経過。皮膚や筋肉、骨などにゴムなどのような腫瘍(しゅよう)が発生することがあります。体中の臓器に病変が生じ、死に至ることもあります。梅毒の状態で妊娠をし、子どもを産んだ場合には生まれてくる子どもの神経や脳に異常をきたすこともあるので注意が必要です。
 

全国で急増する梅毒感染者の推移


引用:岡山市公式サイト

引用:岡山市公式サイト


全国で急増する梅毒感染者ですが、男性は20代から40代が約7割。女性は20代が5割を占めています。(岡山市:2022年の届出数104件。内、男性72件、女性32件)
 
積極的疫学調査で得られた届出によると、男性の約50%が風俗店を利用、女性の約50%が風俗店従事というデータがあります。仮にそのような風俗店に自分自身が関わりが無くても、パートナーやその他の体の関係を持った人が梅毒感染者ならば感染リスクがあることになります。
 

梅毒を予防する方法



梅毒の予防方法としては、性行為の際にはコンドーム(避妊具)を正しく使用することが最適だと言えます。しかし、キスやオーラルセックスでも感染する可能性がある点に注意が必要です。私たちができることはコンドームを正しく着用し性行為をすることと、不特定多数の人と体の交わりを持たないことが大切かも知れません。
 

もし心当たりがあったら…



性行為をした後に、いつもと違う体の違和感などを感じた場合は、早めに医療機関を受診し検査を受けましょう。
 
主に皮膚科・感染症科、男性ならば泌尿器科、女性は産婦人科で受診できます。また、口腔内に異常があるケースによっては耳鼻咽喉科などで診察を受けることも可能です。地域によっては、保健所にて無料・匿名で検査を受けることもできるでしょう。
 
梅毒感染は、医師による診察と、血液検査(抗体検査)で判断されます。検査を受ける際には、感染の可能性がある時期やコンドームの使用状況などを正確に医師に伝えることが大切です。
 

梅毒感染を広げないよう適切に行動しよう

昨今では、マッチングアプリの普及などで、一部では不特定多数の人と性的接触を持つ人が増加しているとされています。自衛手段として適切な行動をとることが重要になるでしょう。
 
かつて、梅毒は重大な感染症でしたが、ペニシリン系の抗菌薬の開発により、早期発見・早期治療によってそれほど重症化せずとも治療ができるようになりました。
 
性感染症になってしまうと、恥ずかしいとか、周りにバレたらどうしようと悩んでしまう方は多いかもしれません。しかし、あなた自身の健康や大切なパートナーへの感染をさせないためにも、もしもの疑いがある場合には早めの医療機関の受診をおすすめします。
 

監修

あなぶきヘルスケア
事業部長  喜田 康生

 

平成17年にプランドゥ穴吹に入社。その後、地域の医療介護検索サイト「病院・介護ナビmilmil」を立ち上げ、サイト営業で多数の病院、クリニック、介護施設などを訪問。現在はあなぶきヘルスケアにて、広告コンサルティングを通じ、ブランディングなど幅広い視点から医療介護業界をサポート。

 


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