記事作成日:2023年5月18日
梅雨明け後の生活・健康被害のリスク
じめじめとした梅雨の時期を越えると、いよいよ暑い夏がやってきますね。
実はこの梅雨明けの時期は、私たちの生活においてさまざまな健康リスクが潜んでいるのです。
岡山大大学院の藤本竜平医師(津山中央病院循環器内科医長)らの研究グループが、夏の猛暑と高齢者の心血管疾患、脳卒中の発症リスクとの関係性を分析したところ、梅雨明け後1ヶ月間は、発症のリスクが高まることを明らかにしました。
藤本医師は「体が暑さに慣れていない中、発汗による脱水や血液の凝固異常などを引き起こしているのでは」と指摘しています。
今回は、梅雨明け後の急激な気温変化による健康リスクがどのようなものか、またその対策方法について紹介しましょう。
梅雨明けに上昇する健康リスク
梅雨明けの急激な気温の上昇において、熱中症・心血管疾患・脳卒中などに気を付ける必要があります。
また、岡山大大学院の藤本竜平医師(津山中央病院循環器内科医長)らの研究によると、暑さにさらされてから1時間後に33%、23時間後には40%の心血管疾患リスクが上昇したとしています。
梅雨明け後に気を付けたい健康リスクについて知っておきましょう。
1.熱中症
梅雨明け後の1ヶ月は、体が暑さに慣れていないことから熱中症のリスクが高まります。
熱中症とは、気温上昇と共に体温が上がり、体内の水分・塩分バランスが崩れることで、体温の調節機能が働かなくなり、高熱・痙攣・頭痛などの症状を起こす病気です。
ひどい場合には吐き気や虚脱感、意識障害にまで及びます。
熱中症といえば、炎天下にいた・運動をしていたといったケースをイメージするかもしれません。
しかし、梅雨明け後の急激な気温の上昇や、気温が低い場合でも湿度が高いと熱中症にかかりやすくなるのです。
高齢者の場合は、体温調節機能が低下しているため、症状を自覚しにくく、熱を蓄積しやすく就寝中に脱水が進んでしまうことも熱中症の要因となっています。
2.心血管疾患
梅雨明け後の気温の急激な上昇により、高齢者を中心に心不全・心筋梗塞・不整脈などの心血管疾患の救急搬送のリスクが上昇します。
高齢者の場合、動脈硬化が進んだり、脱水により血液が濃縮されたり、プラークが破れることで、血栓ができて、脳や心臓の血管がさらに狭くなって詰まってしまうことがあるのです。
3.脳卒中
梅雨明け後は、脳梗塞・脳出血などの脳卒中の発症リスクも上がります。
脳卒中とは、脳の血管が詰まったり破れたりすることで、身体・言語機能が失わるだけでなく、最悪の場合死に至ることもある怖い病気です。
体が暑さに慣れていない状態に加えて、発汗による脱水や血管の縮小・血液の凝固異常などがこのような症状を引き起こしているのではと言われています。
梅雨明け後の生活で気を付けること
健康リスクが高まる梅雨明け後は、少しずつ猛暑へと備える日常生活に切り替えることが大切です。
夏の足音が聞こえる今のうちに、できることから備えていきましょう。
こまめな水分補給と適度な塩分補給
こまめな水分補給は、発汗による脱水症状を予防することができます。
また、熱中症を予防するための水分補給として、日本スポーツ協会では、0.1~0.2%の食塩(ナトリウム40~80mg/100ml )と、糖質を含んだ飲料を推奨しています。
暑いからと水ばかりを摂っていると、体内における塩分やミネラルの割合が低くなり、かえって熱中症を発症・悪化させることもあるようです。
とはいえ、スポーツ飲料は糖分が多いため、飲み過ぎないようにしましょう。
ミネラルを補給する際は、麦茶などがおすすめです。
断熱機器の活用
エアコンや扇風機などの機械を使って体温調整をすることは暑さ対策には有効です。
熱中症を予防するには、室温28度以下、湿度は50%以下が望ましいとされています。
暑いからと室温を24度以下にしてしまうと、外気温との差が大きくなり、部屋に出入りする際、体に負担をかけてしまうので注意が必要です。
本格的な暑さに備える「暑熱順化前線」
一般社団法人 日本気象協会が推進する「熱中症ゼロへ」プロジェクトの一環として、「暑熱順化前線(しょねつじゅんかぜんせん)」が行われます。
この暑熱順化前線は、暑くなる前に体を暑さに慣れさせて熱中症になりにくい体を作るという取り組みです。
暑熱順化するための動きや生活は以下のようなものがあります。
- ウォーキング
- ジョギング
- サイクリング
- 適度な運動(筋トレやストレッチ)
- 入浴(湯船に入るもの)
5月でも最高気温が25℃以上になる日や30℃以上になる日もあります。
日常生活の中で少しずつ体を暑さに慣れさせる暑熱順化を心がけましょう。
梅雨明け後も健康的に過ごすために備えよう
梅雨明け後の健康リスクとその対策について紹介しました。
梅雨が明けると、いよいよ夏に突入しますね。
コロナが明け、イベントの開催も増えますが、楽しく過ごすには健康でいるための対策を怠らないようにしましょう。
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監修
あなぶきヘルスケア
事業部長 喜田 康生
平成17年にプランドゥ穴吹に入社。その後、地域の医療介護検索サイト「病院・介護ナビmilmil」を立ち上げ、サイト営業で多数の病院、クリニック、介護施設などを訪問。現在はあなぶきヘルスケアにて、広告コンサルティングを通じ、ブランディングなど幅広い視点から医療介護業界をサポート。