記事作成日:2022年11月16日

今冬「インフル」と「新型コロナ」同時流行の懸念!「フルロナ」対策は?

秋から冬に季節が移り変わり、寒さがより一層厳しくなってきました。毎年流行する季節性インフルエンザ。そして、ここ数年世界で猛威を振るっている新型コロナウイルス。厚生労働省では、今年の冬は新型コロナと季節性インフルエンザの同時流行の恐れがあり、より多くの発熱患者が生じる可能性があるとの見解を示しています。

今回は、インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスの同時流行で気を付けるポイントと、そもそも同時に感染した場合にはどうなるのか?について、詳しく解説しましょう。
 

厚生労働省「より多数の発熱患者が同時に生じる可能性がある」



厚生労働省の発表によると、季節性インフルエンザと新型コロナウイルスの感染拡大により、多数の発熱患者が同時に生じる可能性があるとされています。

これらの2つの感染症が同時に流行することにより、似たような症状の患者が増加。結果的に、発熱外来(診察・検査医療機関)等による診察を受けにくい状況になることが懸念されています。
 

■同時感染するとどうなる?

季節性インフルエンザと新型コロナウイルスに同時感染するとどうなるのか。そして、これらの2つの感染症は、同時に感染する可能性はあるのか疑問に思う人もいるでしょう。

巷では“インフル”と“コロナ”の同時感染を『フルロナ』と呼ぶ声も上がっています。

冬は複数の呼吸器系ウイルスが同時流行しやすい時期。患者が同時に感染することや、連続してウイルスに感染することで、それぞれのウイルスが互いの感染に影響を与えることを「ウイルス干渉」といいます。

「ウイルス干渉」は、1960年代から研究が進み、複数のウイルス間の相互作用について研究が続いています。シンプルにまとめると、「ウイルス干渉」の力により、人がウイルスに干渉すると免疫力が活性化。その時期に他の種類のウイルスが入り込んできても追い払われることがあるというものです。

しかし、季節性インフルエンザと新型コロナウイルスの同時感染の場合、ハムスターを用いた実験によると、同時感染は重症化リスクが増すとされています。

また海外によると、同時感染の場合、重症化リスクが従来の4.1倍になるというデータも出ているようです。

(参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33216851/)
 

インフルと新型コロナ、同時流行に備える対策



インフルエンザと新型コロナウイルス。どちらも感染してしまい症状が悪化すると、体に大きなダメージを伴います。ご高齢の方などの場合には、命の危険が生じるこれらの2つのウイルス。

まずはウイルスのワクチンの接種を予めしておくこと、そして体調管理や予防習慣を徹底することが大切です。
 

■ワクチンの接種

インフルエンザのワクチンは、10月から全国の医療機関で接種が開始されています。新型コロナウイルスのワクチンは、他のワクチンと同時接種をすることにより副反応の増強や有効性の低下が懸念されていましたが、インフルエンザワクチンと同時接種することによる有効性は保たれることがわかりました。

そのため、現在はインフルエンザワクチンと新型コロナウイルスのワクチンを同時期に接種することも可能となっています。接種間隔も一定期間設ける必要は無く、同時期に接種することや連日ワクチン接種をすることも良いとされています。
 

■日頃の心掛け

日ごろの心がけとして、予防習慣を徹底することが大切です。睡眠時間をしっかり確保し、栄養バランスのとれた食事をすることで免疫力の向上を目指しましょう。

そして新型コロナウイルスの流行で多くの人が習慣となった手洗いやうがい、アルコール消毒を続けることも大切。外出時はマスクの着用を心掛け、アルコール消毒液を携帯しておくと安心です。
 

発熱外来にかかりづらくなる前に備える対策



■抗原検査キット・解熱剤の準備

発熱などの体調不良に備えて、予め新型コロナ抗原検査キットや解熱鎮痛剤などの準備をしておきましょう。

抗原検査キットは薬局などで販売されており、手に入りやすくなっています。最近では、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスの感染を同時に確認できる抗原検査キットなどもあります。

体調不良を感じた場合はもちろん、濃厚接触者と接触した場合など、少しでも不安な場合は、自宅で手軽に検査ができるのがメリット。検査結果が陽性となった場合、または陰性でも合っているのか不安な場合は、感染症センターなどで相談してください。

抗原検査キットは感染拡大で流行する前に予め備えておくようにしましょう。
 

■電話相談窓口の把握

各地域に新型コロナウイルスに合わせた、受診・相談センターなどの地域の相談窓口が設置されています。発熱があったり体調不良を感じたり、何か思い当たる節があれば、地域の相談窓口へ連絡をしてください。今後の対応についてしっかりと相談に乗ってくれるでしょう。
 

感染拡大時の発熱など体調不良の対応



インフルと新型コロナの同時流行または感染拡大時に体調不良を感じた際、どのような対応をとるべきか分からない人も多いでしょう。まずは相談窓口で相談するのもいいですが、感染拡大時はすでに医療がひっ迫している可能性もあります。その場合、重症化リスクによってそれぞれ対応が異なることを解説しましょう。
 

■重症化リスクの高い方

高齢者の方や基礎疾患を有する場合や、妊婦や小さなこどもなど、新型コロナウイルスの重症化リスクが高いのであれば、速やかに発熱外来を受診しましょう。

基礎疾患の条件ですが、主に呼吸器系の病気、内臓系の病気、糖尿病や血液の病気、免疫の機能が低下する病気、神経系、染色体異常、重症心身障害、睡眠時無呼吸症候群、重い精神疾患、BMI30以上の肥満体の場合などがあてはまります。

また、小学生以下の子どもは、かかりつけ医をはじめ地域の小児科医に相談するのもおすすめ。今後の対応について子どもに合わせた指示を出してくれるでしょう。
 

■重症者リスクの低い方

年齢が若く、基礎疾患がない場合には、新型コロナウイルスの重症者リスクが低いと判断されます。発熱などコロナの可能性があると感じた場合には、自ら抗原定性検査キットで確認をしてください。陽性だった場合には、速やかに健康フォローアップセンターに連絡・登録をしましょう。

感染拡大時にもし感染してしまっていても、重症化リスクが低い場合は自宅で療養する可能性が高いです。

自宅療養になった場合を考え、生活必需品を予めストックしておくのがおすすめ。体調を管理するための体温計やティッシュなどの消耗品、日持ちする食料の備蓄をしておくのがおすすめ。自宅からは出ることができないため、家族の協力を得ることも必要。自宅療養に備えて、約1週間分の備えをしておくと安心です。
 

今冬は「インフル」「新型コロナ」両方に備えよう



今年の冬は、インフルエンザと新型コロナウイルスの両方に備える必要性があります。どちらも高熱が生じやすいという点では、症状が似ています。

同時に感染した場合には、症状が重くなる可能性もあるため、健康なうちにワクチン接種をしておくと良いでしょう。予防効果と重症化リスクを下げることができます。

引き続き、アルコール消毒やマスクの装着などの予防習慣をし、熱が出た場合に備えてご家庭に抗原検査キットを常備しておきましょう。
 

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監修

あなぶきヘルスケア
事業部長  喜田 康生

 

平成17年にプランドゥ穴吹に入社。その後、地域の医療介護検索サイト「病院・介護ナビmilmil」を立ち上げ、サイト営業で多数の病院、クリニック、介護施設などを訪問。現在はあなぶきヘルスケアにて、広告コンサルティングを通じ、ブランディングなど幅広い視点から医療介護業界をサポート。

 

 


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