記事作成日:2022年9月30日
座るのが辛い!誰もがなりうる「痔」の原因と治療法・対策
テレワークが増える昨今、デスクワークが多い日本のサラリーマンですが、座りっぱなしが痔の原因になっていることも。
痔と聞くと、大したことがないとか少し笑ってしまう風潮がありますが、放っておくと大変なことになりかねません。
今回は、痔になった際のセルフケア方法や、痔の治療方法の概略について紹介します。
誰もがなりうる痔の三大疾患
誰もがなりうる可能性があるのが痔の三大疾患です。
痔の三大疾患とは「いぼ痔・きれ痔・痔ろう」。
同じ痔であっても病状は全く異なります。
それぞれの特徴について解説していきましょう。
■いぼ痔(痔核)
いぼ痔(別名:痔核)は、痔の中でも最も発症頻度が高い痔です。
肛門を閉じるための肛門クッションが変形してしまい、肛門の外に滑り出てしまった状態のことを指します。
進行すると、出血したり、肛門の外に出てくることも。
肛門の外に出てくるといぼができた状態になることから、いぼ痔と呼ばれます。
■きれ痔(裂肛)
きれ痔(別名:裂肛)は、字の通り肛門上皮に傷がついてしまい避けている状態です。
女性の方や便秘の状態の方によく見られる状態になります。
排便時の痛みが強く、治りにくいことから悪化しやすいのが特徴です。
■痔ろう(あな痔)
痔ろう(別名:あな痔)は、肛門の内側と外側にトンネルのような孔ができた状態。
肛門には、小さなくぼみがあるのですが、その部分に細菌が入ることにより炎症を引き起こす感染症です。
腫れてしまったり、痛くなったり、膿が出たりするのが特徴。
初期は肛門周囲膿瘍と呼ばれていて、痔ろうは1回の下痢が原因でなる人もいます。
痔になってしまう原因とは
痔になってしまうには様々な原因がありまが、主要なものとしては以下の2つ。
①便秘がちで排便の際に強く力んでしまう
②長時間座りっぱなしであることから肛門に負担がかかる
おしりに負担がかかる上記が代表的な発症原因です。
デスクワークが多い日本のサラリーマンやOLがなりやすい疾患であると言えるでしょう。
痔になったときのセルフケア
痔になってしまうセルフケアが重要。
痔は内側からも外側からも体のケアをすることで、おしりの治癒力が上がります。
できるだけ負担をかけないようにするなど、おしりを労わることが大切です。
痔になった際は、以下で紹介する5つのセルフケアを意識しましょう。
1.おしりに負担をかけない排泄
おしりに負担をかけないためには、排泄に気を付けましょう。
できれば毎日、決まったタイミングに排便する習慣を身につけること。
理想は、1日1回、朝食後の排便。また、便を我慢したり、便座に長時間座ってきばらないことも大切です。
無理して排泄をしようとすると肛門に余計な力が加わり、痔を悪化させてしまう原因にもなります。
2.便秘や下痢にならない生活
便秘や下痢にならないような生活をすることも大切です。
便秘や下痢の原因としては、精神的なストレスや腸内善玉菌であるビフィズス菌の減少などがあります。
また、煙草は大腸の働きを悪くする作用があるので、減煙・禁煙を心がけましょう。
その他、アルコール飲料も飲み過ぎると、膵液の分泌増加によりお腹を壊しやすくなります。
下痢や便秘にならないような生活習慣を意識的に身に着けるようにしましょう。
3.入浴で肛門を温める
入浴で肛門を温めるのも効果的です。
肛門(下半身)を温めることで、血行を良くすることができ、肛門のケアすることに繋がります。
使い捨てカイロを下着の上から肛門の周囲にあてるのも効果的です。
しかし、膿瘍など感染性の痔では温めてもあまり効果がありません。
4.無理に押し込まない(いぼ痔)
いぼ痔の場合、突出したものを無理に押し込まないようにしましょう。
排泄で力んだ時などに、内痔核が脱出してしまうのが痔。
軽症であれば肛門周辺を清潔な状態にした後やさしく押し込んでも良いでしょう。
しかし、痛みがあったり出血がある場合には無理に押し込まないようにしましょう。
5.市販薬に頼ってみる
痔の症状を和らげることができる市販薬があります。
症状に応じて上手に利用すると良いでしょう。
おしりの患部に直接注入する座薬や軟膏などの外用薬などがあります。
しかし、痔ろうの場合は市販薬での効果は見込めないのが実状です。
痔の治療法とは
■保存療法
痔の治療法で用いられやすいのが保存療法です。
保存療法とは、生活習慣を痔にならないように改善する方法のことです。
排便の後には肛門を清潔な状態を保つ、水分を十分にとる、食物繊維をしっかりとる、アルコール類や香辛料などの刺激物を控えるようにします。
また、適度な運動習慣、同じ座りっぱなしの姿勢をとり続けない、毎日入浴するなどの生活習慣も重要です。
■薬物療法
薬物療法は、痛み・腫れ・出血を抑える外用薬(軟膏や座薬)を使用するパターンと、便を柔らかくする薬・炎症を抑える薬・抗生物質などの内服薬を使用するパターンがあります。
医者が処方する痔の治療薬には、ステロイドホルモンが含まれている薬剤と、含まれていない薬剤があり、症状に合わせて使い分けることが大切です。
ステロイドホルモンが含まれる薬剤は効果は高いですが、長期間の使用は皮膚に影響が出るなどの副作用があるので注意が必要です。
■ジオン注射(硬化療法)
出血を繰り返す内痔核に対して注射をし、痔核を硬化・縮小させるのがジオン注射(硬化療法)です。
硬化療法とも呼ばれており、外来での処置が可能なため入院をする必要はありません。
注射は痛みを感じない部分に行うため、麻酔の必要性もないのが特徴です。
内痔核の出血を止めることに関して非常に効果的な療法ですが、約1年間ほどで硬化がなくなることを知っておきましょう。
■輪ゴム結紮治療
痔核が悪化してしまい、肛門から脱出するようになった場合には、輪ゴム結紮治療の処置をとることになります。
ゴム結紮治療という特殊な器具を使って、内痔核の根元に小さな輪ゴムをはめ込むことにより内痔核の根元を圧迫。
1~2週間後には痔核が便とともに排泄されるという仕組みです。
痔を治すには手術が必要な場合も
日常生活を改善する保存療法や、緊急時の注射療法を使用しても良くならない場合には入院をして手術が必要になります。
内痔核が進行して大きくなった場合には、外痔核を伴って肛門から脱出することで激しい痛みを伴い、日常生活にも支障が出てきます。
手術は、内痔核に注入動脈を根元の部分で縛り上げて、内痔核に痔核を放射状に部分切除する処置をとる結紮切除術をすることになります。
最近では社会的なニーズから日帰り手術の場合が多いです。
手術を行えば、完治を目指すことが出来ます。ただし、痔はクセになりやすいため、手術後の生活習慣を見直すことが大切です。
痔は治る!まずは生活習慣を見直そう
痔は日常生活を見直すだけで改善できます。
健康管理をするにうえで私たちにとって大切なのは、適度な睡眠、適度な運動、栄養バランスのとれた食事などが挙げられます。
痔のためには、おしりを冷やさないことや、おしりを清潔に保つためにウォッシュレットを利用するなどの小さな工夫をすると良いでしょう。
また、どうしても自分の力では改善が見られないと感じた場合には、医療機関を受診して薬物療法や手術を検討するのも一つの手段です。
痔はしっかりと向き合えば治る症状なので、もしあなたが痔になってしまっても焦らずに生活習慣を見直すところから始めてみてはいかがでしょうか?
痔におすすめの関連施設のご紹介
■みき内科外科医院(香川県高松市) ■佐藤クリニック(香川県高松市)
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監修
あなぶきヘルスケア
事業部長 喜田 康生
平成17年にプランドゥ穴吹に入社。その後、地域の医療介護検索サイト「病院・介護ナビmilmil」を立ち上げ、サイト営業で多数の病院、クリニック、介護施設などを訪問。現在はあなぶきヘルスケアにて、広告コンサルティングを通じ、ブランディングなど幅広い視点から医療介護業界をサポート。