記事制作日:2022年9月27日
発熱外来を受ける基準とは。ひっ迫する医療提供体制
いまだに収束の目処が立たない新型コロナウイルス、高熱が出る症状から一般的な風邪や季節性インフルエンザウイルスとも見分けがつきにくい感染症といえます。
これからの秋・冬シーズンは、風邪や季節性インフルエンザウイルスの流行も始まることから、とりあえず心配なので医療機関を受診されるという方も多いはず。
しかし、安易に医療機関を利用することになると、多くの患者が殺到してしまうことから医療機関がひっ迫してしまいます。
今回は、発熱外来を受診した方が良いケースや、症状がある場合にはどうすれば良いかなど、発熱外来の受診目安などについて解説します。
発熱外来とは
発熱外来とは、発熱・咳・痰・倦怠感などの症状がある人が受診します。新型コロナウイルス感染症が心配な人は、一般の外来とは別の場所で診察を行うのが一般的です。
主に新型コロナウイルスや季節性インフルエンザなどの感染の疑いがある高熱の人が対象となります。
また、患者の状態に応じて、臨機応変に受入や搬送等の調整を行うのも発熱外来の役目。現在は患者数の増加により病床がひっ迫しているのが現状です。
発熱外来では、新型コロナウイルスの性質がわかりつつある昨今、感染可能性が高い人や重症者リスクの高い人を優先的に診察しています。
発熱外来「軽症なら慌てて受診は不要」
日本感染症学会などの4つの学会が2022年8月2日に「症状があるかもしれない」と思った人向けの医療機関への受診の目安を発表。これは感染拡大に伴い、発熱外来などへの患者の集中を考慮したものと言えます。
4学会による共同声明によると、重症化リスクが低ければ、薬や検査のために慌てて受診することはないという呼びかけをしています。
仮にオミクロン株に感染した場合にも、症状は2~4日で軽くなり重症化する割合は数千人に1人であることから、医療機関への負担を軽減するための措置といえます。
基礎疾患を持っている人や、高齢者などは重症者リスクが高い傾向にあります。それ以外の人に関しては、仮に感染した際にも軽症で済む場合が多いと言われています。
必要以上に医療機関が患者を受け入れてしまうと、病床のベッドが直ぐに埋まることや本当に必要な人への措置ができなくなってしまうこと、また医療従事者への負担があることも配慮した措置といえるでしょう。
発熱外来の受診が必要な目安
発熱外来の受診対象者としては以下のような人が当てはまります。
・水が飲めない
・呼吸が苦しい
・発熱(37.5度以上)が4日以上続く
・65歳以上の人
・基礎疾患がある人
・妊娠中の人
・咳、鼻汁、喉の痛みなど感冒のような症状が3日以上持続する人
・全身の倦怠感・息苦しさのある人
・味覚障害、嗅覚障害のある人
主に上記の条件に当てはまる人が、発熱外来の受診が必要と言えます。さらに、【胸の痛みがある・意識に異常がある】ような場合には、もしもの重症化リスクに備えて救急車を呼ぶ必要性があります。緊急度が高い場合には積極的に救急車を頼ることも必要でしょう。
ひっ迫する医療提供体制の緩和
ここで長崎市の例をとってみましょう。長崎市は9月20日から2週間の期間、長崎みなとメディカルセンターの駐車場にドライブスルー方式の発熱外来を設置することを発表しました。
これは、休日と夜間の医療提供体制のひっ迫を防ぎ、次期の感染拡大・季節性インフルエンザとの同時流行に対する措置と言えます。こちらのドライブスルー方式の発熱外来の対象者は、中学生から65歳未満の発熱・喉の痛みなどの症状がある人が当てはまります。
また、診察のあとには抗原検査を行い、症状に応じて薬が処方されます。こちらの診察費用は有料になりますが、「陽性」と診断された場合には、一部が公費による負担になります。
受診の際には、専用ダイヤルにて当日予約が必要となり、最大で20人まで予約可能ということになっています。
このようなシステムを導入することで、医療提供体制のひっ迫を緩和させているのです。
発熱外来を受診する流れ
発熱や喉の痛みなどの症状が現れた場合、発熱外来を受診したいけどどうしたらいいのか分からない…という人は少なくないでしょう。
もし、かかりつけ医がいるのであれば、かかりつけ医のいる病院へ電話で相談するのがベスト。かかりつけ医が発熱外来でない場合には、発熱外来を紹介してもらえるでしょう。
症状がある場合と濃厚接触が疑われる場合で、受診する流れについて解説します。
症状がある方の場合
まずはかかりつけ医のいる病院へ電話で相談しましょう。もし、かかりつけ医がいない場合は、県や市のホームページで発熱外来を探し、電話で相談するようになります。
流れとしては以下の通り。
1.かかりつけ医の病院や相談窓口などに電話などに問い合わせる
2.発熱外来による診察(医師や保健所が検査が必要だと判断した場合は検体を採取して検査)
濃厚接触が疑われる場合
新型コロナウイルス感染者の、濃厚接触者の疑いがある場合には注意が必要です。濃厚接触者としての定義は、陽性者と最後に会った(接触)した日はいつか?ということがポイントです。感染可能期間(発症2日前等)に接触したかどうかが問われることになります。
1.対面で手が触れる距離(1mいない)に15分以上一緒だったか
2.マスクをしないで、会っていたか?
3.同居、あるいは長時間の接触(車内、航空機等含)だったか?
4.陽性者の唾やくしゃみ、それらが付着したもの等に触れていたか?
上記の1と2が同時に該当する場合には、濃厚接触者の可能性があります。3と4のいずれかに該当する場合には、濃厚接触者の可能性があります。どちらかのケースに当てはまる場合には、5日間の自宅待機をし、自宅待機中に体調の変化があった場合には医療機関に連絡して受診をしましょう。
不安な場合は相談センターへ電話しよう
症状はないが、濃厚接触したかもしれないと不安に思う場合には、県や市で設置されている「新型コロナウイルス感染症電話相談窓口」または「厚生労働省相談窓口」に問い合わせましょう。
今回は、発熱外来とは何か、どういうシーンにおいて発熱外来を受診すれば良いか等について紹介しました。
これから秋・冬にかけて風邪のシーズンがやってきます。発熱外来を受ける必要のないよう、日々の体調管理を徹底しましょう。
発熱外来におすすめの関連施設のご紹介
■マオカ病院(香川県高松市) ■アイファミリークリニック(香川県丸亀市)
■前田メディカルクリニック(高知県香美市) ■やまじクリニック(岡山県倉敷市)
監修
あなぶきヘルスケア
事業部長 喜田 康生
平成17年にプランドゥ穴吹に入社。その後、地域の医療介護検索サイト「病院・介護ナビmilmil」を立ち上げ、サイト営業で多数の病院、クリニック、介護施設などを訪問。現在はあなぶきヘルスケアにて、広告コンサルティングを通じ、ブランディングなど幅広い視点から医療介護業界をサポート。