記事作成日:2025年4月15日
便利さの裏に潜むリスク?スマホ普及による健康被害とその対策
今や、スマートフォン(以下スマホ)は私たちの生活に欠かせない存在となっています。
連絡手段としてはもちろん、調べもの、地図、SNS、写真、動画、キャッシュレス決済まで、ありとあらゆるシーンで活用され、1日のスマホ利用時間が数時間に及ぶ人も少なくありません。
しかし、そんな便利なスマホにも落とし穴があります。それが、「健康への影響」です。
長時間の使用や無意識の使い方が、身体や心に思わぬ負担を与えていることはご存知でしょうか?
今回は、スマホがもたらす健康被害と、それを防ぐための対策について考えていきましょう。
スマホ使用による身体的な健康被害
私たちの体は、スマホを使っているときに意外と多くの負担を受けています。
長時間の使用や姿勢のクセによって、知らず知らずのうちに不調の原因を生んでいるかもしれません。
ここでは、スマホが引き起こす代表的な身体の不調について見ていきましょう。
■ 目の疲れ・視力の低下
長時間スマホを見続けることで、最もダメージを受けやすいのが「目」です。
画面のブルーライトは目の奥に届きやすく、網膜に影響を与える可能性もあるといわれています。
また、スマホを見ている間はまばたきの回数が減り、ドライアイを引き起こすことも。
とくに小さな文字や画像を長時間見続けることは、視力低下や眼精疲労の原因となります。
スマホを1時間使用したら10分程度は目を休ませる「10分休憩ルール」を取り入れるのがおすすめです。
■ 姿勢の悪化と「スマホ首」
スマホを使っているとき、多くの人が無意識に前かがみの姿勢になっています。
この状態が続くと、首が前に突き出た「スマホ首」や、背中が丸くなる「猫背」を引き起こし、肩こりや頭痛、背中の痛みに繋がることも。
さらに、こうした姿勢が慢性化すると、骨格や筋肉に負担がかかり、整体や整形外科に通う人も増えています。
■ 手指への負担
メッセージのやり取りやゲームなどで、手や指を酷使している人も多いでしょう。
とくに親指を使った操作が多いと、腱鞘炎や関節痛になる可能性があります。
これを「テキストサム損傷(Text Thumb Injury)」とも呼ぶほど、現代特有の症状となっています。
スマホが心に与える影響
スマホは便利な情報ツールである一方、精神面への影響も無視できません。
心の疲れや不安感の原因が、スマホの使い方に隠れていることも。
次は、スマホがメンタルに及ぼす代表的な影響について掘り下げていきます。
■ 睡眠の質の低下
「寝る直前までスマホを見てしまう」という人は要注意。
ブルーライトが脳に「今は昼間だ」と錯覚させ、睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌が減少してしまいます。
その結果、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなるといった問題が生じます。
快眠を目指すなら、就寝の1時間前にはスマホを手放す「デジタルサンセット」がおすすめです。
■ スマホ依存とSNS疲れ
スマホは、使えば使うほど新しい情報や刺激が得られるため、依存状態になりやすいと言われています。
特にSNSは、通知が来るたびにドーパミンが分泌され、「もっと見たい、もっと繋がっていたい」という感情を刺激します。
その一方で、他人の投稿と自分を比較して自己肯定感が下がったり、常に誰かとつながっていなければならないというプレッシャーから精神的に疲れてしまう「SNS疲れ」を感じる人も増えています。
■ 精神的ストレス・うつ症状
SNSを通じて他人の成功や楽しそうな瞬間ばかり目にすることで、「自分だけが取り残されている」と感じることがあります。
こうした感情は、軽度な不安から始まり、放っておくとうつ傾向につながる場合もあります。
心の健康のためにも、SNSとの距離感は非常に大切です。
スマホ利用による生活上のリスク
スマホによる健康被害は、身体や心だけにとどまりません。
日常生活に潜む危険や、社会的な問題にまで発展するケースもあります。
ここでは、スマホが引き起こす生活上のリスクについて紹介します。
■ 歩きスマホ・ながら運転の危険性
歩きスマホや、自転車・車を運転しながらのスマホ操作は、重大な事故につながる危険行為です。
視線がスマホに集中している間に、周囲の変化に気づけず、思わぬ事故を引き起こすことがあります。
特に都市部では、歩きスマホによる接触事故や転倒が問題視されており、自治体によっては規制が強化されているケースも。
■ 子どもの発達への影響
スマホを長時間使用している子どもたちにも注意が必要です。
発語や集中力、対人コミュニケーション能力など、発達に必要な要素がスマホ依存によって妨げられる可能性が指摘されています。
とくに未就学児のスマホ利用には保護者の配慮が求められます。
健康を守るためのスマホとの付き合い方
スマホとの健全な付き合い方を意識することで、健康リスクを大きく軽減できます。
以下のような対策を日常生活に取り入れてみましょう。
・使用時間を意識する
スマホのスクリーンタイムを可視化し、「1日〇時間まで」などのルールを設ける。
・目と体を休める
1時間に1回は画面から目を離し、ストレッチや姿勢のリセットをする。
・寝る前のスマホ断ち
就寝1時間前からはスマホを手放し、読書やストレッチなどで心を落ち着かせる時間に。
・SNSとの距離感を見直す
必要のない通知はオフにし、常に繋がることへのプレッシャーから解放される時間を作る。
スマホは適切な距離感を持って扱おう
スマホは私たちの暮らしを豊かにする便利なツールですが、その使い方次第では、身体や心に大きな負担をかけてしまうこともあります。
「なんとなく使っている」時間を見直し、スマホとの付き合い方を意識的に整えることが、心身の健康を守る第一歩です。
便利な時代だからこそ、少し立ち止まって、自分自身とスマホの関係を見直してみてはいかがでしょうか。